オルゴールの話

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やんわりとした朝日がカーテンの隙間から差し込む。その光を瞳に受け入れると自然と目が醒めた。 「おはよう…」 誰に言ったわけでもない…いや、言うなればこの狭い部屋に居る人形達に言ったのだろう。 朝ごはん、とベッドから這いずりでる様に台所へ向かう。そして親の分まで一緒に朝食を作るのが毎日のスタート。 「帰りに寄らなきゃな…」 呟いた声がリビングと食卓が繋がったこの広い空間にやけに大きく響く。 これも慣れたこと、と今日もいつもと変わらない一日が始まった。 「えと、この道を…」 帰り道。 私は約束通り彼の家に向かっています。 ですが… 「もぅ、わかんないっ」 見事に迷ってしまいました。 第一こんなに道が入り組んでるのに迷わない方がおかしいのです。 「――…」 あれ? 今何か通ったような…。 『こちらです』 え? 『こちらです』 辺りを見渡す。 すると一羽の黒鶫が綺麗な声で一啼きした。 そして森の奥に飛び立つ。 待って! 必死に黒鶫を追い掛ける。 その思いが届いたのか小枝に止まって黒い瞳で私をじっと見つめている黒鶫。 「はぁ…はぁ…」 漸く追いつくとパタパタと飛んできて肩に止まった。 『全く、人間は軟弱ですね。』 息切れしているせいで反論もできない。 そんな不思議な黒鶫をちらりと見るとその真っ黒な瞳に何かを移している。 その視線を追うように正面を向くと、木ばかりの平らな道の先に光を見た。 『行きましょう。』 その声に押される様に歩き出す。 不意に視界が開けた。 「わっ…」 木漏れ日ばかりだった視界に光が広がった。 その柔らかな光の中に木製の小屋のようなものが見える。 目が光に慣れた時、漸く自分がどんな場所にいるかわかった。
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