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「ホントねぇ、不思議だわ。そういえば随分と男らしくなった気がするわね」
「えっ?マジで?!」
市葉の言葉に本当に嬉しそうに青年は返す。
「ま、今年の5月で23になったからな」
へへんと鼻先に指を当てながら、青年は偉そうに返した。
「ふふ、大きくもなって」
青年の乱れた金髪を整えるようにして、市葉はソレを優しく撫でる。
青年は真っ直ぐに黒い瞳を市葉に向けてきた。
「今日から俺もいよいよ軍人になれるんだ」
市葉もそんな青年を穏やかに見つめていた。
「そうね。しっかりやってらっしゃい。貴方なら絶対に、大丈夫。私の自慢の子供の一人だから」
市葉はそう言って薄く微笑みを魅せてくれた。
「ああ!任せとけっきっとこの“日本”を平和にしてみせっから」
「――ええ」
目を閉じて市葉は返す。青年の言葉一つ一つをしっかりと刻み込むように。
「ああー!治(おさむ)だぁっ」
「ホントだっ帰ってたんだな!!」
「その服どうしたんだ?かっちょいいな」
雰囲気をぶち壊したようにバタバタ現れた三人組はまだまだ幼さの残る子供たち。
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