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私は振り返つた。 恐らく今日、この梯子をあの猫が登り、一羽だけ捕まへて、持つていつてしまつたのだらう。 間もなく巣立つて行くはずだつたのに、私はとんだ邪魔をしてしまつたものだ。 かわいさうに、あの小鳥は猫のいたづらで、とうに死に絶えてしまつたにちがいない。 その時だつた。 元気な産声が耳をつんざくやうに、辺りを騒然とさせた。 「生まれた!」 赤子は産湯に浸かり、その後は細(さい)から乳をもらつてゐた。 子は愛らしく、長男もあの小鳥を見たときのやうに、瞳を輝かせてゐた。
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