プロローグです

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影は登り終わり、服に付いた土を大きな動きで払うと少年に近づく 音と気配に怯えた小鳥達が少年の肩から飛び立ち、狐が膝の上から森に向かって駆け出す そこで漸く少年は誰かが近づいて来た事がわかった 少年は数時間していた胡座を崩して痺れた脚をほぐすように立ち上がり、後ろを向く 小さな影は少年が後ろを向くと同時に走り出し、少年の身体に飛びついた 「お兄ちゃーん!!」 少年は綺麗な薄い緑色の目をゆっくりと開き、大きな声を上げて飛びついてきた少女の頭を撫でた 「リリー。いきなり飛びついたら危ないだろう?」 少年は微笑みながら少女――リリーに言う 「えへへ…」 リリーははにかみながら照れたように笑い、少年を抱き締めるる力を強めた 「今度は気をつけるんだよ?」 少年はリリーの頭を撫でながら笑顔で問い掛ける 「はぁーい!」 リリーはニコニコとした至福の表情で少年に元気よく返事をした 白いふわふわのワンピースを着て、手触りが良いキラキラした金髪を揺らすリリーはとても可愛く笑っている 目の色は少年と同じ薄い緑色でその整った顔も少年に似ていた 似てない所と言えば垂れ目と垂れ眉、そしてその背丈ぐらいだろう 少年は年の割に大きく、リリーは抱き締めるという表現より、しがみつくという表現の方が合ってしまっている
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