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そんなリリーの手には何かメモのような紙が握られていた
「ん?リリー、それはなんだい?」
少年はそれに気づき、頭を撫でていた手をリリーからいったん離し、不思議そうに訊ねる
「あっ!そうだった!」
それまで御機嫌オーラを振りまいていたリリーは何かを思い出したようなハッとした顔になり、少年の手を力強く握った
「もうすぐご飯だからお兄ちゃんの事呼びに来たの!ついでにお買物頼まれたんだよ!」
リリーはメモを掲げながら少年に向かって自慢気に胸を張った
少年はそれを微笑みながら再びリリーの頭を撫でると夕焼け空を見て少し急ぐように告げる
「それじゃあ急いで買い物して帰ろうか。もう時間も遅いしね」
身体をほぐし終えた少年がそう言うとリリーは大きく頷き、岩を駆け足で下って少年の手をひいて走り出した
「早く帰ろー!」
走り出したリリーは誰にも止めさせないという勢いで少年の前を走る
「転ばないようにね?」
少年はそう言い、小さな笑みを浮かべながらリリーを追い掛けるのだった
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