仮面

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私は本当に犯人を見分けることができるかもしれない。 自己満足に陥りかけていた。 ここで犯人を発見できたら、この能力がついに役に立つだろう。 しかし、あの声と手紙が本当のことを言ってるのだろうか。 本当は犯人などいないのに一般人にスタンガンをかましてしまったら、私は傷害罪で逮捕だろう。 それにしても、あの声と手紙から私の能力を少なからず知っている人間なのだろう。 ふと引っ掛かった。 なぜ声と手紙の二つの手段で、伝えてきたのだろう。 常識的に考えれば、声だけですべてを伝えればいいのに。 「あっ!」 また頭痛が・・・ 私は漕いでた自転車を止め、前に倒れかける。 すると、また男の声が聞こえた。 『犯人の特徴は仮面の目だ。 それと、犯人を見つけたらじっと目を見てその場を離れるな。 できるだけ早く俺が駆け付ける。 そして、あの事故の真相を教えるとかいう連中にあったら、すぐ逃げろ。 捕まったら最後と思え』 気がつくと頭痛は消えていた。 どういうことだ。 つまり、私はある人間に狙われてるのか。 そして捕まったら最後。 この能力について知ってるということは、目的はそれなのか。 本当に鵜呑みにしていい話なのか。 声によると犯人とあったら目を離すなということだが相手は今から大量殺人を起こそうとする人間だ。 そのようなことをしてたらすぐ殺されてしまうのでは。 パァーーーッ!!! 後ろからクラクションを鳴らしながら猛スピードで黒のワンボックスが突っ込んでくる。 そして私と並走する形で並ぶと後ろの扉が開き、数人の男が手を伸ばしてきた。 ―あの事故の真相を教えるという連中とあったらすぐ逃げろ。 捕まったら最後だ。 私はとっさに脇道に逸れた。 ワンボックスは急ブレーキの後、バックし脇道に入ってきた。 私は脇道に入ったすぐ横にあるパーマ屋の影へ隠れると、ワンボックスが通過した瞬間もとの道へと戻った。 私は命を狙われてる。 いつかワンボックスも戻ってくるだろう。 私に残された道はデパートに行くことしかなかった。
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