仮面

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しばらく漕ぐと〇〇デパートに着いた。 途中ワンボックスに追いつかれることはなかったが、細心の注意を払って漕いできたため疲労はいつも以上だ。 私は駐輪場に自転車を停め、デパートに入る。 時刻は午後6時15分 ここまで来るのにかなり時間を食ってしまった。 あと45分で犯人をみつけなければ私は犠牲者の仲間入りになるかもしれない。 それは真実であったらの話だが。 もしものことを考えると私は焦ってしまった。 こういう時こそ冷静に。 私は深呼吸をすると回りを見回した。 今の時間はラッシュ時であり、客がごった返している。 そこら中、仮面だらけで吐き気がした。 だがそんなことを言ってる暇はない。 私は憎しみの仮面を探した。 このデパートは 1階の食品・呉服売り場 2階の家電・家財売り場 地下の駐車場となっている。 なかなかの規模があり、こう混んでると一人一人確認してる時間はない。 では、どうする。 私は推理小説上で行われてた、主人公の犯人の考察について考えた。 ―犯人の心境となって状況と照らし合わせ、手がかりを示す。 犯人の心境は・・・ デパートで大量殺人を起こすぐらいだから、何かにかなりの憎しみを持ってるのか・・ ふとある本の一説を思い出した。 ―連続殺人犯は殺しに快感を感じる。 つまり欲求によってつき動かされたイカレタ人間である。 大量殺人犯は負の感情を抑えきれなくなり爆発し起きる場合と 自殺するときの゛いけにえ゛として起こす場合がある。 前者の場合だとデパートと特定できるはずがない。 つまり後者である。 自殺するために関係のない人間を殺して死のうとしてるのか。 私は怒りが込み上げてきた。 実行させないためにも早く見つけなくては。
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