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2階にあがると、大量の家電が並んでいた。
秋から冬になるこの季節、ストーブやエアコンが必須だ。
空調機会や除湿・加湿器系が手当たり次第、置いてある。
空調系のコーナーを抜けると様々な家電のコーナーがあり、その奥に家財製品が売っているコーナーが並んでいた。
1階ほどではないが、結構な人がいる。
ここから一人一人確認していくしかない。
1時間弱の間で犯人を見つけなくてはならない。
私は家電コーナーの一番端から一人一人の仮面を確認していった。
特に憎しみと悲しみの形状をした仮面を探し、その目の部分を確認していった。
目を見る度、心の声が脳内に響く。
私は吐き気を抑えながら、順々に顔をみた。
人々の目を見るうちに本心を聞くことに慣れ、吐き気が収まってきた。
だが慣れていいものではない。
私は自分という存在が壊れていくのではと思った。
最後の一人を見ると目に変わりはなかった。
「なんで・・・!?」
2階の人々は全部確認したはずだ。
もしかして、1階にいたのか・・・!?
1階を隅々まで探そうとしても残り時間は10分しかない。
2階だけでかなりの時間を食ってしまったようだ。
「終わった・・・」
私は力無く壁によりかかった。
「帰ろう」
あの声も嘘だったにちがいない。
本当だったとしても、逃げる時間はあるはずだ。
私はエスカレーターに向かって歩を進めた。
すると前に小学生らしい子供達数人が前を通り過ぎた。
「・・・ッ!?」
私は目を疑った。
仮面のない無垢な少年の中、後方の一人だけ仮面を被っていた。
その仮面は憎しみと悲しみの形状を兼ね備えており、
そして目は鋭く尖っていた。
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