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高校2年だった私は陸上部の短距離ランナーだった。
実力はそれほどでもなかったが、仲間との日々はとても充実していた。
特に、中学の時から仲がよかった片桐優香と宮内怜とは親交が深かったらしい。
らしい
というのは彼女達との記憶はあの事故をきっかけに一切失くなってしまったからである。
医者が言うには
事故直後の記憶はとても悲惨なものであったがため、
脳が精神崩壊を恐れ、抹消したらしい。
私は必死に想いだそうとしても、彼女達とのことはどうしても思い出せない。
とにもかくにも、思い出そうとすると、頭の中にもやがかかるような
不快な気分になる。
そのため、今では彼女達のことを、あまり考えないようにしている。
さて、話を戻すが、
以降の話は偶然通り掛かった老人の目撃談である。
その老人は聴取の一週間後、当初の発言とは正反対なことを言い出し、
最終的に脳梗塞を発祥し、この世を去っていた。
私たち3人はいつもの帰り道を共に帰っていた。
最近のファッションの話など他愛もない会話をしていたのだろう。
すると、前から怪しげな男が歩いてきた。
だぼだぼの黒いパーカーを羽織り、
フードを深く被った長身の男だった。
私たちの横を通り過ぎた時、優香は倒れた。
地面には血の水溜まりができていた。
私が男を見た瞬間、怜も同じように倒れた。
すると、男は何か鈍器のような物を振り上げ、私の頭を直撃させた。
かがんで倒れた私に何かを言い、逃げていったそうだ。
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