Case2

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「魔族?――違うね!」  魔王の言葉を小馬鹿にした様に否定して、若者はばっと大きく両手を広げた。  彼が身動きをする度に、服に取り付けられた金属がジャラジャラと耳障りな音を奏でる。 「俺は紅き月と漆黒の闇から生まれた夜の支配者!」  叫んで、若者は広げた両手を胸の前で交差させた。 「この世界に闇の旋律と月の祝福を与える為に遣わされた!」  交差させた腕で自分を抱きしめる様に首元に絡ませる。
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