ugly truth

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私は貴族と平民の間に産まれた 貴族とは血統の上に成り立つ砂の城 庶子である私は周りにとても嫌われた しかし父はそんな私でも愛してくれた 母が亡くなった時も喜んで私を迎え入れてくれた 他の女達に散々嫌がらせを受け嫌われたが私はあの家が好きだった 優しい父の背中を追い掛けることを夢見て しかし運命とは皮肉なもので 嫡男である私は父の指名を受け家を継ぐことになった 周りの猛反発を受けたが父は私を指名し続けた 『この愚かな枠を壊すのはお前だ。 お前なら出来る、私はそう信じている。』 あの時の優しく微笑む父の顔が忘れられない そして私は家を継いだ それが運命の歯車を狂わす事になろうとも知らずに 絢爛に飾られた自室 少し落ち着かないが仕方がない 指にはめた翠色の石を眺め溜め息を吐く 当主になったはいいが本当に自分で大丈夫なのだろうか 不安になっても仕方がない 鏡の前で自分の姿を映す 「なんだか微妙だな…」 柄に合わない服を着させられ人形のように丁重に振る舞う まるで誰かに踊らされている操り人形のようだ 「キリア様。」 控えめなノックと共にメイドが顔を現す 「キリア様、お客様です。 レベッタ様がお見えになられております。 お通ししましょうか。」 「あぁ。」 メイドは一礼をした後ドアを閉める その時はまだ異変には気付いていなかった .
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