ugly truth

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暫くしてまた部屋の扉がノックされる 「入れ。」 「失礼致します。」 メイドに促され部屋へと入る青年 綺麗なプラチナブロンドの髪に宝石のような青い瞳 何時も不安げにひそめられていた眉は柳眉を描いていた メイドが退出し部屋に二人だけとなる 「久しぶりです、キリア義兄様。」 深々と頭を下げる義弟に少し困惑する 「久しぶりだな、レベッタ。 しかし見ない内に立派になったな…」 懐かしむように青年を見る 自分の中では背中ばかりを追い掛けてじゃれてきた記憶しかない 「いえ、キリア義兄様も当主になられて… 私等足元にも及びません。」 謙遜も口に出せる年になったのか つい口が緩み吹き出してしまう 「フ…ククククッ。」 一人笑いを堪えていると何故笑われたのか解らない青年が顔を真っ赤にしている 「な、何故笑うのですか!?」 「いや、何故って… そのような事を言える年になったのだな、と思ってな。 すまない、つい笑ってしまった。」 昔は我儘で気分屋だった少年が立派な貴族として努めを全うしている その違いように笑ってしまった 「キリア義兄様は失礼です。」 怒ったのか形のよい眉を寄せる青年 プイとそっぽを向く姿に昔を重ねる 「すまない、気分を害したのならば謝ろう。 あと堅苦しいのは止せ、肩が凝る。」 「義兄様…」 昔のように薄く微笑む青年 その時は青年の瞳に宿る闇を見付けることは出来なかった 他愛ない談笑をしていると不意に青年が袖を引く 「キリア義兄様に見せたいものがあるんだ。」 嬉しそうに笑ってみせる青年につい頷く 「それは楽しみだな。」 「きっと吃驚すると思う。」 青年に手を引かれ自室を後にする その時は廊下の異様な静けさに気付いていなかった .
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