ugly truth

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襲名祝いが行われる大広間に辿り着く 「何があるんだ?」 「それはね…」 青年の瞳にぞっとするような笑みが広がる 「キリア様…!!」 悲痛な叫び声が脇から聞こえる 首を回した先にあったものは信じられない光景だった 「これは…!!?」 赤い絨毯の上にぶち撒けられた赤黒い液体 折り重なるように倒れている使用人 恐怖に瞳を見開き震えている一人のメイド 先程客を案内していたメイドだ 「吃驚するだろ?」 残酷な笑みを浮かべた青年を睨み付ける 「レベッタ、一体何を!!」 「サプライズさ。」 青年は淡々と言葉を紡ぐ 「当主が襲名当日に亡くなるなんて、大したハプニングだろ?」 「お前!!!」 「おっと、動くな。」 青年の懐から拳銃が取り出されメイドに向けられる 「この女を天国に送られたくなかったら動くな。」 「貴様!!!」 青年の周りに黒服の集団が現れ何事かを囁いている 耳打ちされ青年は一瞬驚いた顔をみせたがすぐに邪悪な笑みに変わる 「もうすぐお前の可愛い義弟のリンスくんが来るんだとよ。」 義兄弟の中で一番下の少年の顔が浮かぶ 「まさか、貴様…」 残酷な笑みを浮かべ青年は銃を構える 「ご主人様と一緒に送ってやるよ。」 破裂音が響きメイドが吹き飛ぶ 真新しい赤色を撒き散らしながら倒れるメイド 赤い絨毯が更に紅く染まっていく 「何故、何故…!!」 何故関係のない彼等が死なねばならない 何故義弟がこんな事をしたのか 何故、何故、何故 「何故って? 簡単だよ。」 青年は酷薄に笑う 掌に鈍色が踊る 「お前が憎い。」 偽善の仮面をかなぐり捨て青年は憎悪を露にする 「憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!! 卑しい産まれの分際でお父様に気に入られ持ち上げられ、挙げ句の果ては当主にまで。 お前さえいなければ…!!!」 青い瞳に業火の如き憎悪を燃やし青年は詰め寄る 「どうしてお前なんかが生きているんだ!!!」 義弟の顔が激しく歪む 「卑しい産まれの分際で… 当主になど…目に余る!!!」 .
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