プロローグ

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少しだけ薄暗い部屋で二人の男が立っていた。 「本気ですか?」 「えぇ、お願いします」 「……だが、しかし」 「お願いします!! ……お願い……します」 一人の男が言葉を詰まらせ、涙ながらに懇願していた。 もう片方の男は眉間に皺を寄せ、非常に難しい表情をしている。 「こんなことを頼めるのは、成功させる可能性があるのは教授しかいないのです」 「ですが……」 「お願いします!!」 「成功する確率は限りなくゼロに近い。それに必要となる素材も手に入れるのは難しい」 「何でもします!! 私に出来ることなら、何でもします!!」 頼み込む男の眼に嘘は無い。 本当にこの男は何でもする 命すらも懸ける 教授と呼ばれた男は、彼の決意を察した。 「……やはり協力はできません」 「そ、そんな」 「これは神にも背く行為かもしれません。どんな理由があろうと――」 「教授!!」 男が言葉を遮るように、叫ぶ。 そして、彼の心からの言葉が吐き出された。 「この子の笑った顔を、もう一度だけ見たい……それは、神にも背く罪なのでしょうか?」
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