プロローグ

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ハァ…ハァ… 男が走っている。 年は30歳ぐらいで 白衣を身にまとっている。しかし顔は、『白衣の似合うキリッとした中年男性』ではなく。 どちらかと言うと、 『パーカーの似合うひょろっとしたストーカー男』 のようだ。 いや、ボサボサの黒髪に、くぼんだほっぺ…浮浪者という言葉も実にしっくりくる。 男は純白の長い廊下を走っていた。 終わりの見えない、とてつもなく長い廊下だ。 見えるのは左右についているドアだけだ。 しかしそのドア、普通ではない。 銀色に光るドアの中央部にはパソコンのボードのようなものと画面があり。 その画面には『パスワードを打ってください。』と赤い色で表示されている。 純白の世界の中に浮かび上がる銀のドアは、象一頭分ぐらいの間隔で廊下に添付されている。 ドアの上にはプラカードが提げてあり、それぞれの部屋がどういう部屋なのかは一目瞭然だ。 男はひとつの部屋の前で止まった プラカードには、『TTM保管庫』 と、プリントされている。 『ここだ…やっと見つけたぞ…』 男はこの部屋のパスワードを解き ドアを開けた。 部屋の中はやはり純白で、15畳ほどの広さがある。 男は中に入り、またなにかキーを打ってからドアを閉めた。 そして部屋の中央にあるものを見据えた。 ガラスケースの中で、どういう原理なのか、wiiリモコンのようなものが浮いている。 男は白衣のポケットからシャーペンのようなものを取り出し、握り締め、ちょうど親指のとこに来たスイッチを押した。 カチッという音がして普通なら芯がでるところをなんと赤いレーザーがでた。 真っ直ぐに発射されているレーザーの長さは5センチといったところか、意外に短い。 男はガラスケースにそのペンで円を書いた。 直径は20センチほど。 そして、男は円の中心を人差し指でチョンと押す。 パリィン 男が書いた円は静かに落ちて、控えめに割れた。 切断面はサッパリ切れてる。 シャーペン恐るべし 男は自分の作った円に手を突っ込み、中のwiiリモコンを取り出した。 その時 ピ━━━━っ!!!! 男のポケットからけたたましい音がした。 『!?……ま、まずい!!』 バン!!!! この時部屋の外を見てたらこんなものが見れただろう… 廊下にある数え切れないドアから一斉に黒服に身を包んだ男がでてくる光景を…!! 黒服の男達は真っ直ぐに男がいる部屋に走ってくる。
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