その日の俺

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 携帯電話の喧しいアラームで目が覚めた。煎餅布団から手だけを出し、アラーム設定をOFFにして布団の中へ引きずり込む。  時間を確認すると、昨日と同じような時間を小さな画面にデジタルな時計は指している。それは、俺がなんて事のない俺の日常をリアルに過ごしている証拠だ。  のそりと布団から出て、なるべく速やかに学ランに着替えた。なんとなくだ。  洗面所に行くと部屋着姿の兄貴とすれ違った、お互い何も言わずに蹴り合う、ただの挨拶、スネが痛い。  顔を洗って鏡を覗くと、いつも通りの黒髪と冴えない顔の男と目が合う。俺なんだけど、嫌いじゃないけどまだ認めたくない、往生際の悪い俺。  母さんも、もう少しくらい良い顔に産んでくれてもよかったのに、とぼんやり思う。  鏡の自分と睨み合うと新しい思春期ニキビを発見した。死ねばいい。  とりあえずニキビを倒す石鹸(自称)で冴えない顔をもう一回丁寧に洗ってからリビングを目指した。  馴染み深い俺の定位置に着くと、大学二年生の兄貴は嫌そうに顔をしかめながらも、俺の目の前に朝飯を置いた。  スクランブルエッグとトースト、コーヒー、育ち盛りにはいまいち物足りないがしょうがない。  親は共働きで都内勤務だかなんだか、もう家にはいない、朝は兄貴と代わる代わる朝飯当番しながらしのいでる。  そんな状態、俺にとっての当たり前。  テレビを付けるとちょうど天気予報が終わって朝の占いに切り替わった。
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