その日の俺

3/8
前へ
/16ページ
次へ
 この占いを見ることが、俺の毎朝の日課、たった七分程度の占いは何故だかよく当たる。俺限定で。  何でだろうな、本当に不思議だ。  今日の牡羊座は一二位、最悪だ。大切なものをなくしてしまうかも、ラッキーアイテムはハサミ、新しい自分を切り開けるかも、ラッキーカラーは青。  そこまで見た俺はテレビを消した。  そしてなんとなく早めに家を出ることにした。意味なんてない、気分の問題だ。一番のりの教室は居るだけでなんとなくわくわくする。  俺の内側に住む童心へのサービス、どうせ気休めですが。  歯を磨いて無言で家を出た、大きく伸びをして、俺の足で約10分の母校を目指し冷えたアスファルトを歩いて行く。  ポケットのなかにはラッキーアイテムのハサミと、ラッキーカラーが持ち手のカッター、ぶつかり合ってガチャガチャうるさい。  うるさいけど、あの占いは本当に当たるんだ、いやいや本当に。  水に注意だった時は水まきしてたばーさんに水かけられたし、落とし物注意だった時はあろうことか財布を落とした。  思わぬ良いことがある日は両親から臨時でお小遣いを頂き、褒められる日は体育のサッカーで三点いれ、ラブ運最高の日に告られた。最悪の日にフられたがな。  ここまで当たると怖いレベルだったが、たまに外れるのは所詮は占いと言うところ。  まぁ、信じる信じないは個人の自由だし、俺は信じる。なんとなく。  なんとなく、な。  なんとなくの直感を大切にしているのはアイツの受け売りである。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加