グノリステ

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雅文は、どこか誇示をするような勢いで、僕の方に言葉を繋げていく。 「俺はどちらかと言うと、頭で覚える方だから、」 言った。 それが本当だとは思えないし、本当だとも思わなかったけれど、そんなことは問題にならなかった。 「ほう、そうか」 その声は、どこか不敵な笑みを浮かべた、垣下先生の声だった。余りにも似合いすぎたその台詞に、思わず僕は、内心で驚く。 「えッ」 声を出して驚いたのは、雅文の方だった。 垣下先生は、不敵な笑みにも似た微笑を放ち、雅文の方へ、問を促す。 「それじゃぁ、この前やった結合で、NH4+は何結合が働いてる?」 雅文が、頭を下げる。 「すみません、でしゃばりました」 黒板に書かれているのは、アンモニウムイオンの式だった。それについて、僕は見覚えがあった。 水素と結合しているから水素結合。それから共有結合。イオン結合までしている。 こんな感じかな? 僕は思いながら、ノートを見返してみる。大体、ノートを見返してみる。そこに書かれていることは、僕の頭の中で考えられたことと、そんなに変わらなかった。
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