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オアシス
砂漠に 紫の夜
キャラバン隊は
連日連夜
椰子の木陰と水を
求めて
砂塵の道筋を
舐めるように
進む
時にだらりと
ラクダの鼻歌を
耳にしながら
迷い子の思考を
隠す 紫の中に浮かぶ月影に 涙する
瞳の奥
熱帯魚の林を
抜けたばかり
ゆっくりと
ゆっくりと
水筒を満たす
溢れ出す水の
命の在りかを
手繰りながら
キャラバン隊の
小さくなってゆく
影を 静かに
包む 砂漠の穏和な
風よ
イラスト
夏蜜柑さま
詩
カユラ
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