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「夏はそんなにかしこまって会うような高貴な女じゃない。一年校舎の廊下にメロンパンでも吊るしておけ。五分でかかる」
「お前の妹どういう生態してんだよ」
すると、いきなり永海が笑いだした。
「ごめん。あまりに久しぶりすぎて笑ってしまった。いや、でもなんかこういうのが良いよ。切に思う」
笑って謝られたことは初めてだったが、それも永海らしいと感じた。
「でも、そういうの聞くと尚更妹さんに会いたくなるなぁ」
そう言う永海を見ていると、なぜだか妙な不安要素があがった。
それは永海が、俗に言うモテる奴に分類されるからだろうか。
もしかしたら夏の好きな男のタイプというやつは嫌いになれない、しかしどこかいけ好かないような、永海に似た部類の男かもしれん。
俺にはどうも関係のないことなのだが、いや待て、関係は大有りなのだ。
しかし、一介の兄が、妹の恋沙汰になにか物申しても良かろうものか、受け入れられるか。
それに永海が加わると少し俺も楽になるのではないか、いや、しかし夏は……。
と、脳みそがフル稼働して試行錯誤にはしっていた。
改めてもう一度念を押しておくが、俺は決してシスコンなどではない。
極めて健全なセクシャルを装備している。
俺のベッドの下には、熟女変態の東大にはいれるくらいの男の教科書が隠されている。それが証拠である。
「そういや、ほんとに春は俺にだけ馴れ馴れしいよな」
「どういう意味だ?」
「ほら、朝会った時もお前まるで昨日一緒に遊んだかのように絡んできたじゃねぇか。俺も思わずつられたけどよ」
「あぁ、そうだな」
変に御古島は勘が良い。
確かに昨日、俺は御古島に会った。
御古島は、それを記憶の大掃除をしても思い出せんだろうがな。
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