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元来、日本人が季節に対して抱く印象とは種々様々であろうが、大体の部分で一致するだろう。
たとえば、春は和やかで寛大であるとか、夏はしつこいほど燦燦とか、冬はおっとりと静謐であるとかだ。
ここで話は変わるが、さきほどの俺の妹の名は秋道 夏という。
残念ながら上記のイメージがぴったりと当てはまってしまう。
さらに、姉の名前は秋道 冬という。
これも残念ながら上記のイメージがぴったりと当てはまってしまう。
そうだ。三人揃えば四季が揃うのだ。
完全にジョークで作ったつもりの名前が驚くほどに子供達の性格と一致した、と言えなくもない。
あえて両親がこのように性格と名前の印象を扱えるならば、俺も将来の子供を見据えてあずかりたいものだ。
秋道 真面目。秋道 天才。なんて良いんじゃないかな。うむ。
「妹は可愛い、姉は美人、お前は本当に恵まれてるよな。一人ぐらい分けてくれ!」
「姉妹は分け与えてやれるほど安易なつくりじゃないんだ。悪いな」
「なんだよ。冗談じゃねぇぞ。姉妹とのどろどろを俺もしたいんだよ!」
「昼ドラの見すぎだ」
「そんなありきたり的謳い文句のようなツッコミで流されるかよ」
「もう良い。お前の話に付き合ってるとその内本当にどっちかがお前の姉妹になってそうだ」
そうは言うものの心のどこかで、一人ぐらい譲り受けてくれたら俺も幾分かは楽になるのになぁ、と思い耽ったのは内緒である。
御古島の腐った思春期の妄念を聞きながら登校するのも癪なので、誰と同じクラスになるかなどと高校生じみた淡い感情に浸っていた。実際に高校生だが。
そろそろ我が学校の正門が姿を現す頃合いのところ、曲がり角の電信柱に寄りかかって、夏が一人立ち尽くしていた。
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