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その瞬間には目の前から凛の姿が消え、次に目にした時には道路にぐったりしていた。
俺は凛の元へと急ぐ。凛を抱き抱えて、
「おい、凛!しっかりしろ!凛!凛!」
それでも頭から血を流し、ぐったりうなだれる凛。当然俺の呼びかけに反応するわけもなく……。
それでも反応しない凛に1人話しかける。
「待ってろ、今救急車呼ぶからな!」
ポケットから携帯を取り出し、電話する。
そこは病院から近かったららしく、電話してから5分を過ぎた頃に救急車は来た。
凛は担架に乗せられ俺もそれに続いて救急車に乗り込む。
すると救急隊員の人に彼女さん?と聞かれ、そうです、と答える。
「さっきの現場から見て、結構出血してるみたいだから今とても危ないよ、彼女。意識なくても声は聞こえるから声かけてあげなさい」
凛が危ない……?背中に変な汗が走る。垂れていた凛の手をとり、固く両手で握る。
「おい!凛!しっかりしろ!」
とずっと繰り返していた。すると凛の手が微かに動き、俺はさらに呼ぶ声を強める。瞼がピクッと反応し、完璧ではないけど凛は目を開けた。
凛が途切れながらも、微かな声で俺を呼ぶ。
「凛!俺はここにいるぞ!」
固く握ってた手を握り直す。
「よかっ、た。いてくれたんだ、ね……」
「当たり前だろ?俺がおまえの前からいなくなったりするかよ」
涙が込み上げる。あぁ、泣きそうだ……。
「そうだね……。いなくなくなるわけない、よね……」
「あぁ。もう喋るな。もうすぐ病院に着くから」
「ねぇ…。私のこと、好き?」
「嫌いなわけないだろ。好きだ!だからもう喋るな、お願いだ!」
「よかっ、た……。私がいなく、なっても、私のこと好きでいて、くれる?」
耐え切れなくて涙を流す。留めなく溢れ出てくる涙は頬を伝う。でもしっかり凛に答える。
「なに縁起でもないこと言ってんだよ」
笑いたいけど苦笑いにしかならない。それが悔しくて。
「私がいなくなったら私のことなんて忘れて他の人と幸せになってね」
「さっきから何言ってんだよ。おまえ以外の誰を好きになれってんだ。俺はおまえのことをずっと――。」
やばい、本格的に泣いてきちまった…。こんなのないだろ…。
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