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「だから、私がいなくなったら幸せになってね……。今まで、ありがと、う……。好き……だ、よ……」
凛の全身から力が抜け落ちる。
「おい、凛。どうしたんだよ……。なぁ……。凛。うそだよな?ただ黙ってるだけなんだよな?そうだろ?凛!」
次第に力が入ってく。
「そうなんだよな?凛!なんか言えよ!凛!凛!凛――ッ!」
取り乱した俺を隊員がなだめる。
「なぁ、洒落にならねぇよ……。お願いだから目を開けてくれ……」
もう俺には泣くことしかできなかった。涙が止まらない。だんだん溢れてくる……。
「あー、涙がとまらねぇ。なんでだろ……。ははっ、やっぱ俺って駄目だな……。ちくしょう……」
笑いたくても笑えない。なんでだよ。
凛の亡き殻は幸せそうに笑っていた……。
「なんで凛が笑ってるときに俺は笑えないんだよ……。俺はおまえと笑い合いたいだけなのに……。なんでこんな……。ちくしょう……、ちくしょう!」
そうやってる間に救急車は病院に着いた。凛は急いで運び出されていった。
凛が死んでから少しの間の記憶がない。ただただ泣いていた。泣くことしか残されてなかった俺はそれしかできなかった――。
今日、葬式が終わった。みんな泣いていた。俺もやっぱり泣くことしかできずにいた。
途中、凛の母親に声をかけられたが何を言っていたのか覚えていない。
葬式が終わり、みんながぞろぞろ出ていく中、俺は凛にあることが言いたくて凛の母親に2人にしてくれないかと頼むと、すんなり了解してくれた。
凛の両親も部屋を出ていく。
「よぉ、凛」
「……」
涙ぐみながらも言葉を紡ぐ。
「助けられなくてごめんな……。凛を先にこっちに来させてから話を聞けばあんなことにはなってなくて、今頃仲良く笑ってるんだろうな」
「……凛。俺はおまえのことが好きだ、今までも、そしてこれからも」
「それでまず言っとく。ごめんな」
「あの時、俺に他の人と幸せになってって言ったよな?あれ守れそうにないや」
涙が自然と溢れ出る。
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