一歩

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「俺の隣には凛がいなきゃ嫌なんだ!……あぁ、確かに俺の我が儘だ」 「でも!俺の隣に凛がいなくちゃだめなんだ!だから……、だから!お願いだ、帰って来てくれよ、なぁ……」 「……」   「駄目、か……。それなら!俺はいつおまえが帰って来ていいように隣を空けとくから、いつでも安心して帰ってこいよ?待ってるからな」 「ずっと、な。だからオレはおまえのことを絶対に忘れない。死んだとしても、だ」 「だから、もし俺が死んだら迎えに来てくれよな」 「……これで俺の言いたかったことは終わり。これからは前を向いて歩くよ」 「それじゃ、お別れだな……。また凛と会えますように。そして、また会えるその日まで……。ばいばい――」 最後、俺は泣きながらも笑うことができた。笑えてよかった。 俺は泣いてほてった顔を冷やすため、夜風に当たりに外へ出た。 夜風はひんやりと冷たく、ほてった顔にはちょうどよかった。 ふと上を見上げる。そこには満天の星。俺はつい、 「綺麗だな」 と隣に呟いてしまった。しかし、その隣には誰もいない。 とその時、 「そうだね!」 凛の元気な声が聞こえた。周りを見ると、誰もいない。 「凛……。会いに来てくれたのか。」 返事はない。だけど俺は呟いてしまう。 「ありがとな。それにしても綺麗だな」 再び上を向く。そこから涙が溢れる。 「やっぱ俺って駄目だな……。なぁ……、そうだねって笑ってくれよ!凛!」 凛の笑い顔が頭を過ぎる。思い出すと余計に涙が溢れ出た。 「そういや、さっき前を向いて歩くよっておまえに言ったばかりだったな……」 涙を拭い、落ち込んだ気持ちを吹っ切る。 「さぁ、明日は学校だ。もう帰るよ、凛。待ってるからな……。空高くから見守ってくれよな。今度こそばいばい――」 満天の星に頼み事をして 回れ右をする。そして――。 俺は歩み始める。明日からの人生に。後ろは振り返らない。過去には戻れないのだから。前へ進むしかないのだ。これからに向かって……
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