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「――なるほど、魔法使いたちは普通の人間たちに迫害されちゃったわけか」
そういえば昔は魔女狩りとかあったんだっけ……。
自分と違うものは排除する。昔から人間って変わらないもんなんだな。
オレはページをめくりながら通学路を歩く。
危ないと言われるだろうが、歩きながら本を読むなんてオレはもう慣れてる。
「うわあ!どいてくれーっ!」
キキイィィーッ!!
「え!?」
突然背後から叫び声とうるさいブレーキの音が響く。
オレは反射的に避けようとしたが、間に合わなかった。
猛スピードで突っ込んで来た自転車。それにぶつかってオレは軽く突き飛ばされる。
「イテテ……」
まあ、丈夫なオレはすり傷程度ですんでるけど。
起き上がって突っ込んで来たバカを見てみると、パーカーのフードを目深にかぶった男が尻餅をついていた。
自転車は彼の近くに転がっている。
「いたた……はっ!やべえ!」
お尻をさすっていたそいつははっと思い出したように慌てて立ち上がる。
「わ、わりい!じゃ、俺急いでるから!!」
片手をあげて去ろうとする男。
しかしオレのほうを見て動きを止める。
「……あれ、お前って……」
「……なんだよ」
落ちたメガネを拾い上げながら、オレは怒りを露に男を睨み付ける。
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