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こんなこと今までになかったわけでもなくて、
俳優さんと呑みに行くのを聞いて、軽く説教したり。
スタッフと仲よく話してたのに、軽く説教したり。
こんなに独占したい感が満載の俺にいつも、はいはい。なんて笑って返してくれてた。
だから嫉妬深い俺と、しっかり受けとめてくれる彼女で、
上手くバランスがとれてる。と勘違いしてた。
きっと彼女にだって、
受けとめられないこと
もあるのに
ガチャ
「行かないの?」
「うっさい。なんで来たのよ。とっとと直也くんの家行ってきなさいよ」
「行かないよ。宇野ちゃん行かないし、泣いてるし、」
「もうほんと黙れ!しかも泣いてなんかっ」
ギュッ
彼女がこんなにも、
俺を思って目を真っ赤にしてくれてるなんて。
嬉しくて笑いそうだけど、
きっと笑っちゃいけないだろう。と思って、我慢する。
その代わりに、すぐ壊れてしまいそうな君を優しく抱きしめれば、君は眉間にシワをよせて
俺の目を見る。
「なにすんのよ」
「ごめん。普通に妬いた。あんなに簡単に真司郎の家行く、とか言うからさ」
「あ、そんなことで‥」
「そんなことでって、
まさか本気で千晃のこと飯に誘ってるとでも思った?」
「‥‥‥‥はい」
「‥ははっ。宇野ちゃん最高。あの場でそう思ってたの貴方だけみたいだよ」
「え、うそぉ」
「‥‥あのさ。1回しか言わないから、よく聞いて」
「‥‥‥うん」
‥きっと
メンバーだから、仲間だから、
こんなにすれ違って苦しくなってしまうのだと思う。
これっぽっちのことで
と君は思うかもしれない。
けど
君が仲間だから、でもそれ以上に大切な存在だから
苦しくたって
その倍強くなれると思う。
だから よく聞いて。
「‥俺、貴方のこと好きだよ。
だから、真司郎の家行くな」
「‥は?」
「行ってもいいから、いい子で帰ってきてください」
なんて土下座をすれば、
君は飲んでたお茶を吹き出し、こっちを見て笑ってくる。
「‥に、にっしー」
「?」
「やましい気持ちなんて、ひとつもない場合でも行っちゃだめですか、西島君?」
「‥証拠は?」
「‥‥ったく、あんたにはあたしの気持ちが読みとれないの?」
「‥えっ、」
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