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「あ、でもそんなこと言ったら僕達だってつい最近の仲じゃないか」
「言われてみればそうだけど……。でも、あの不良男と愛人じゃ、どう考えてもキャラが違うだろ。こういうのって相性だと俺は思うぜ? どうやったら俺とあの人が仲良くなれるんだよ」
「僕との馴れ初めの時見たいにやれば良いじゃないか。そしたら仲良くなれる筈さ」
「馴れ初め? そんなの覚えてないって」
「忘れたとは嘆かわしいね。僕から話しかけたに決まってるじゃないか」
「それじゃ参考にならないじゃん!」
そもそも仲良くなりたいかと言えば、話は別だと天城は気付く。
ああいう人は絶対に裏の世界見たいなものに関与している。俺はそんな世界の片棒を担ぐのは御免だと、偏見と妄想を入り混じれた、ネガティブな未来を口にした。よくもそんな謎な妄想がつらつら出て来るものだと、上代も別のベクトルで感心していた。
其処から、彼女の悪態や彼の愚痴を二、三まじえながら会話を続けていく。
昼休みも残り十分辺りに差し掛かり、空箱になった弁当箱を仕舞う最中、天城は自分の鞄の中に白い紙が入っているのに気づく。否、気付くというよりかは思い出す、が正解なのだが。鞄からサイズ的にレターに近い紙を取り出し、実に残念そうな顔で昨日の顛末を芋づる式に思い出す。
「なぁ、この学校の近くに喫茶店なんてあったっけ?」
「喫茶店?」
紙パックのリプトンミルクティーをストローでチューチュー吸いながら上代は質問に疑問符で返す。
「そう」という言葉で折り返しをつけ、口からストローを離し、答えを考える。頭の中でお手製溢れるナビマップを広げ、「ああ」と場所を見つけた。
「もしかして『雅』のことかな?」
雅、喫茶店の名前であろうワードを聞き取り、手元の紙を広げてみる。
紙に書かれていることと、先の名前を何やら比べて検証していようだ。
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