そして偉大なる王が命令を下す

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「それそれ。雅って店、それ何処にあるか分かるか? 住所だけじゃ分かりにくくてさ。学校の近くってのは分かるんだけど……」 「別に教えてもいいけど、それとは別に君の持つそれ」 天城が右手に持つ手紙、それを指さしながら上代は聞く。 「その紙がなんなのか、僕は知的好奇心がそそられるな」 「ん? コレ?」 「そう、ソレ」 「大して面白いものじゃないぜ」と別に渋ることなく紙の提供を承諾する。その紙だけでは恐らく理解できないだろうから、紙にまつわるエピソードも加えて、親切に教えることにした。 あの後、炎の棒を持って襲ってきた不良男だが、殺す前にクールになったのか、なってくれたのかは知らないが、襲わないでいただいた。そこで終わったのなら良かったのだが、何故かまた明日会うという話になり、明日の午後四時半、雅という喫茶店で集合とのことだった。 その紙は、雅という店の住所を書きとめた物であって、彼の言う通り、面白い物ではない。 「本当に面白くなくて残念だよ。少し君を恨む」 「何逆恨みしてるんだよ。言っただろ、面白くないって」 「普通は前フリだと思うよ。その流れを汲めなかった君が悪い」 「勝手に期待して落胆しただけだろ! 今回ばかりは俺は悪くない!」 「駄目だね。そんなままだと僕は一生君に対してデレることはないよ」 「そもそもお前にデレが有る事に驚きなんだけど。やっぱりお前もデレたりするの?」 「確かに性別を間違えたとか色々な人から言われるし、それは認めてもいるけど、そんな僕だってデレる時はデレるさ」 「想像できないな」 「しなくていいさ。御婆さんになっても起きない話だ」 「やっぱり無いんじゃないか!」 会話に起きる間を利用し、再度ストローを咥える。ストローの持つ透明をみるみる色替えさせ、彼女によるミルクティーお引越し計画は無事完遂。中が空になるまで飲み込んだ。 全て飲み込んだにも関わらず、依然変わらずストローを咥えたまま、渡された紙をピラピラと動かす。
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