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「うっわ……この雨ホント凄いね……」
昇降口まで来て直に雨を見ればその勢いが良く分かる。
水滴が地面や屋根を叩きつける音はとても強く正直耳に痛いと感じる程。
今居る昇降口から反対校舎の昇降口までは歩いて十秒と掛からない距離だがその十秒でどこまで濡れないで済むかが問題だ。
「ココまで来たら行くしかないだろ……」
覚悟を決めたのか村山は一歩足を踏み出すとそのまま走り抜けた。
その後ろではデスヨネー。と乾いた笑いを浮かべながら南波もまた覚悟を決めて足を踏み出す。
「ぅわっ! っと……!」
昇降口から昇降口まであっという間に着いたわけだが……
「ったくなんだあの雨! まだバケツひっくり返した方が濡れないんじゃねぇの!?」
そう叫びながら村山は勢い良く頭を振ると犬のように髪についた水滴を飛ばす。
南波はその横で濡れたブレザーを脱ぎ、少しでも水を飛ばそうと思い切り振っていた。
そして二人は互いの姿を見て改めて雨の凄まじさを知った。
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