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「言っておくけど紘。 俺が陸兄って呼ばれてる理由はただ単にイトコだからってだけじゃねぇからな? 俺とお前は同レベルなんかじゃねぇぞ?  それと羽海。 早く風呂の用意、しろよ?」 ……パタン。 陸兄は捨て台詞のように言いたい事だけ言うと部屋を後にした。 「…………。」 「…………。」 残された私と紘兄の間にはなんとも言えない微妙な空気が漂う。 「……そう、なのか?」 「……そう、ですよ?」 「じゃあ、他の理由って何?」 「それは…… 昔、陸兄の事を『お兄ちゃん』って呼んだら怒られたんです。 『俺は本当のお兄ちゃんなんかじゃない』って。だから“陸兄”って呼んでるんです。」 そう。 忘れはしない。 本当の母が亡くなってから私と威空が嶋木家に引き取られた時、陸兄に一番最初に怒られたのはこの事だった。 「それってさ、陸は羽海に兄扱いされるのが嫌だって事なんじゃないのか?」 過去を思い出し、話す私に、紘兄はなんとも言えぬ表情を浮かべた。 .
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