騎士道精神

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「貴公の事をワシは只者ではないと思っておった、だがよもやメビウスの将であったとはな。 優勢であった我が軍も貴公のおかげで混乱の極みじゃよ、ここはひとつ兵の統率だけでも回復せねばなるまい」 「それは大変残念でしたね御老体、私としてもあの時の屈辱を忘れたつもりは有りません。 ただここまで乱れた戦線をどうやって立て直すつもりなのか、私も一介の将として多祥なり興味があります」 辺りは血と悲鳴が飛び交い正に混戦状態、そんな中で相手と言葉を交わす余裕があるとは私は幸福なのでしょうね。 「知れた事を、これだけの混戦では戦線を立て直す事など容易ではない。 だが敵に一瞬でも隙が生まれたならば話しは別、さすればワシが取る道はひとつしかあるまいて」 御老体が持つ巨大な戦斧は私の大剣と比べて勝るとも劣らない、振り下ろされたそれが防いだ私をそのまま弾き飛ばしました。 「ラーキア軍幕僚長将軍ジークフリード=カイザル、怨みはないが貴公の命を頂こうかの」 戦斧を地面に突き刺して仁王立ちする老将軍ジークフリード=カイザル、なるほど、今の一撃はホンの挨拶と言うことですか。 「私はメビウス軍第一師団団長エリス=ヴァレリア、騎士の誓いに従いラーキア軍を殲滅させていただきます」 敵とはいえ礼に従うものにはそれ相応の礼によって返す、あの外道の言葉を使うならばそれが騎士道と言うものです。 .
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