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しかも、さっきの御姫様とは違って、完全に気配を消した上での攻撃ね。その武器も、熟練者が使う、一点突破用のランスとか、完全に殺す気でしたよね。
「まさか、もう動けるなんてね。
さすがは俺が認めた存在、忠犬ポチ君だよ」
「くっ……どうして、なぜこれ以上動かない」
俺の背中の数センチ手前、そこで止まったランスを見ながら、俺は微笑んであげたさ。あの状態で、ここまで来たのは凄いけど、やっぱり力が入ってないね。
予想外のことに、焦るポチも可愛いけど、なんかちょっと可哀想に感じちゃう。まあ、その体で攻撃出来るのは、彼女が言う、騎士道のおかげだろうけどね。
「ポチも来たかったなら、そう言えばいいのにさ。
けど、不意打ちを狙ったのは、とっても良い考えだね」
「でも、残念ながら、力及ばずってことだよ。
取りあえず、ポチのせいで傷ついた翼を、本当にどうしましょうか」
折角隠してたのに、俺の扱いが酷すぎるよ。今回に関しては、確かに不幸中の幸いだけど、久々にちょっと、怒りたい気分だね。
「あっ、悪魔の翼」
「失敬な!確かに黒いけど、そんな不吉なものじゃないよ!
これ、結構暖かいし、上質な羽なんだぞ」
俺の背中に生えた翼、それを見て言葉を失う二名様。王様は俺の正体知ってるし、驚いていないけど、それでも少しくらい、驚いて欲しかったかな。
「貴方は……いったい、何者ですか」
ちょっと、そんなに恐がらないでよ。超目立つから、普段は隠してるのにさ。それをポチが無理やり貫いて、魔法が解けたんだよ。
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