王様殺しは考えようby勇者

13/16
前へ
/602ページ
次へ
「如何にも、双方の軍を皆殺しにして、戦争を終わらせたのだ。 もはやそれは、戦争という形を、余りにも一方的な物であった」 「兵の大多数を失い、互いに戦争どころではなくなった。 その時の事を、先々代の王は、己の瞳を疑ったと言うほどだ」 てへ?俺に対する好感度、それが絶望的になって行くのを、俺は肌で感じましたよ。許してくれジョニー、お前の出番はなくなったようだ。 「兵士達の返り血で、己の体を染め上げた彼は、そのまま条約を結ばせた。 互いに国境を越えぬと、攻め入らぬと言う、その条約を強制的にな」 「もし仮に、どちらかがそれを破れば、その破った国を滅ぼすか、王族を皆殺しにする。 その場にて、この言葉だけを残し、彼は忽然と姿を消したそうだ」 「後に残ったのは、おびただしい死体と、惨劇の現場であった。 膨大な戦後処理に、地を埋め尽くすほどの死体、これにはかなり堪えたようだ」 ねえねえ、二人とも目が点だし、そろそろ止めようよ。確かにやりすぎたと思う、だけどしょうがないじゃんか。 「この話を聞いたとき、ワシは信用しておらんかった。 そんなバカげた話、信じる方が難しい。それが例え、先代の言葉であってもな」 「しかし、エルフの里へと向かった軍、それが自滅したと聞いて、ワシは思い出したのだ。 勇者の存在、そしてそれにまつわる逸話をな」 「彼等は命令を無視し、目先の利益を得ようと行動した。 だが、それはこの国の事を想い、あくまで先走ったに過ぎんのだ」 「そんな者達が、戦場で仲間割れなど、絶対にありえんだろう。 腐っても軍事国家、我が軍が敵地で争うなど、到底考えられぬ」 「だから知らせを受けた日、その日から最悪の事態を考え、この書類をまとめ上げた。 この歳でこれだけの量、さすがに骨が折れたわい」 .
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30165人が本棚に入れています
本棚に追加