王様殺しは考えようby勇者

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「この国の騎士として、私は貴方に言いたいことがあります。 貴方が例え、本当に勇者であったとしても、そんな事は関係ない」 「我が祖国、メビウスに仇名し、国王様を殺そうとする蛮行。 その様な卑劣な行為、ただ見ているわけにはいきません」 「ただ黙って、これを見過ごすことができましょうか。 貴方に勝てなくとも、騎士としての誇りを失うくらいなら、私は死を選びます」 はいはい、見事予想通りの受け答え、本当にありがとうございました。それに、ポチ君の言葉のせいで、御姫様までやる気になっちゃてさ。 なんだよ。決意固めたのか、覚悟決めたのか知らないけど、本当にいい迷惑だ。 「まあ、紳士道を重んじる俺は、基本的にレディーは攻撃しない。だけど、二人を攻撃しなくても、国王様くらい簡単に殺せるよ」 「俺に言わせれば、君達なんて眼中にないんだ。 ポチが居ようが、御姫様が居ようが、俺には問題ないのさ」 「そうでしょう。貴方ほどの魔術師なら、確かにそうかもしれません。 ですが、私のような未熟者でも、命を捨てれば盾となれましょう」 俺としては、わかりやすいように、わざわざ教えてあげたのにね。その気色が悪い言葉に、思わず胸焼けしそうだよ。 「残念ながら、貴方の物差しで測れない人間だったと、ただそれだけの事です。 この命、国王様の為に使えると言うのなら、それは正に騎士としての誉れでしょう」 綺麗ごとだね。典型的な、俺の大嫌いな考え方だ。まず、そもそもとして、ポチの表情が気に食わないのさ。他人の為だとか、名誉の為だとか、そんなものに命を捨てるなんて、俺からすれば偽善でしかない。 殺気を放ちながら、その覚悟を試してるんだけど、どうやら本気らしいしね。さっきまでとは違う、全く動じないんだから、本当に困っちゃうよ。 .
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