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入学早々、オドオドしてばかりだったおれはある先輩に目をつけられた。
その先輩からよくバカにされ、さらにお金をせびられるようになった。
臆病者なおれは母親に「消しゴムを買うからお金をくれ」と嘘をつき、もらった金を先輩に渡した。
そのことがどんないきさつかは忘れたが、先生や親にバレて先輩はこっぴどく先生に怒られたらしい。
それ以降、おれは先輩から卑怯者のチクリ野郎と呼ばれるようになる。
当然、先輩達からの圧力はどんどん強くなる。
本当に毎日学校に行くのが苦痛で仕方がなかった。
そんなおれの姿を見て見ぬふりか、あるいは本当に気づいていないだけか、周りの同級生はまったく無関心だった。
おれは先輩からの圧力には完全に屈してしまっていたが、せめて同級生にだけは嫌われたくないと強く思い、周りから嫌われないことを第一にとにかく周りの機嫌や顔色を伺いながら生きる術をすでに身につけはじめていた。
自分なりに必死によく頑張ったと思う。まだ小学生なのに、学校から家に帰ればサラリーマンのように気疲れでぐったりしていた。
でも、相手は勉強やスポーツと違って生身の、しかも感情の波が激しい小学生だ。
どんなにおれが頑張って機嫌を取っても思うようにいかないことが多かった。
その度におれは自分を責めた。
何て自分は情けないヤツなんだと自分を責め、泣き続けてきた。
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