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大人として、社会人として常識を持っていわゆる空気を読んで行動することは大事な仕事の一部だ。
会社という組織では様々な性格、背景、価値観を持った人間が互いの利益を追求しあっている。
だからこそ、時には矛盾を抱えながらも相手に譲ったり自分が我慢する場面が多々出てくる。
ストレスは溜まるが、その代償として多かれ少なかれ給料という対価をもらっている。
その給料や待遇に見合うストレスかと言えば、今の日本で働く9割の社会人はそうではないと思う。
だが、我慢の代償として得られる物が少なからずあるということはそれだけでもまだ救いがあるとも言えるだろう。
小学生の頃のおれがしていた周りへの過剰なまでの気遣いやご機嫌取りはまったく対価のないとてつもなく不毛な我慢だった。
それを幼心に感じてはいた。
でも、勉強にせよスポーツにせよ胸を張って自分を主張できる強いアイデンティティーみたいなものはまったく当時のおれにはなかった。
そうなると、自分を守る唯一無二の選択肢はとにかく周りを敵に回さないよう無難に、そして精一杯相手を気持ちよくさせてやることしか自分にはできなかった。
でも、小学生なんて同じ集団生活でもサラリーマンとは桁違いに自由な身だ。
周りの同級生は皆自分の好きなように振る舞い学校生活を年相応に楽しんでいる。
おれだけが無駄に消耗し、空回りしていた。
本当は皆それぞれに悩んでいたこともあったと思う。
でも、おれにはそんなことを気にかける余裕すらなかった。
歳に不釣合いな異常なまでの低姿勢なおれの態度は次第に同級生との距離を離していった。
周りはおれのことを何でも言うことを聞く都合のいいヤツという目で見始めていた。
先輩が卒業し、これでようやく安泰な学校生活が送れると思っていたおれの読みは狂いはじめていく。
その狂いを取り戻そうと、さらに不自然なほど相手に媚びるようになる自分。
もう、ブレーキはかけれなかった。
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