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急激に濃く、複雑になった中学校での人間関係におれは疲れきっていた。
狭い小学校ですらあんなにいっぱいいっぱいだったんだしな。
そりゃ一気に環境が変わる中学校に対応なんてできるはずがない。
表面上はうまく取り繕っているように見えても、やっていることは小学校からの延長戦だ。
でも、小学校と大きく違うのはただ単にからかうというレベルではなく、いじめというものと常に隣り合わせという緊張感だ。
実際、おれの同級生でも何人かいじめのターゲットにされている人がいた。
おれはいじめられる側の人間にならないよう、今まで以上に神経をすり減らして周りに取り入ろうとしていた。
でも、もはや自分のそんなちっぽけな努力なんて通用しなくなっていた。
疲れに疲れたおれは学校に行くのが嫌になり、同じように学校に行きたくないと悩んでいた和志という友達と共謀して同じ日に登校拒否をした。
結局、担任に説得されてあっけなく学校に戻されてしまったんだけどね。
でも、周りの目におびえ続けてきたおれが始めて表に出した自分の感情だった。
ここから、少しだけ自分の考え方が改まる。
当時流行っていたドラマで「ショムニ」っていうのがあった。
このドラマ、最近でもたまに昼の時間に再放送することがあるから、知ってる人もいるかもしれないね。
このドラマ、見てるととにかく勇気をもらえる。
自分の信念や生き方を貫き通すことが最高にカッコいいと心の底から当時の自分は感じていた。
それは自分がまったく持っていなくて、喉から手が出るほど欲しいと憧れている要素だから。
そして、周りと自分を比べ始め強い劣等感を抱き始めていたから。
そんな劣等感にとらわれず、自分は自分としっかり足を踏みしめて前に爆進する姿は強烈なインパクトがあった。
そして、おれはささやかな戦争を始める決意をする。
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