異次元

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「何も起こらないさ。行くだけ無駄だと思うけどね」光太郎が退屈そうに言った。夕日が射し込む教室に残っているのは二人だけで、外からはアブラゼミの鳴き声だけが虚しく聞こえてくるだけだった。「お前びびってるな?」「びびってなんかないさ。ただ時間がもったいないじゃないか。下校時刻だって5時だしね。」「おお!?これはこれは失礼しました。では早速参りましょうぞ」そうこうしているうちに屋上の物置に着いた。畳五畳のこのコンクリートの建物はひっそりと佇んでいたが、人気が無いせいかいつもよりも不気味に思える。棚町小は屋上に生徒が自由に出入りできる数少ない学校だ。光太郎の腕時計は4時42分を差していた。「あと2分か・・・。」勝郎は生唾をのみこんだ。永遠に時が止まったかと思うほど2分は長かった。「4時44分!」勝郎が叫んだ。だが、何も起こらない。「ほらね、僕が言った通りだろ?」諭すように光太郎と言った瞬間、十数匹のカラスがギャー、ギャー、と鳴きながら校庭のポプラの木から一斉に上空に飛び立った。再びあたりは静かになり、ヒグラシのもの悲しい鳴き声だけが響いている。「お、おい!このあたりでヒグラシの鳴き声なんて聞いた
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