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成宮優斗は絶句していた。
女性恐怖症である優斗にとってそこに広がる桃源郷は地獄にしか見えないのだった。
ひろがる女の子達・・・・・・クラスには男の姿など自分しかいなかったのであった。
「どうしたんや?成宮。挨拶しいや。皆待ちくたびれてんで。」
「は!す、すみません!!」
ぺこりと杉崎に頭を下げる優斗。するとそれに反応して女の子が嬌声を上げてきた。
「みた?今の謝り方!!めちゃくちゃ可愛いんだけど!!」
「なんか頭を撫でたくなるような男の子だよね!!」
その女子生徒の声にビクッとしながら何とか挨拶に試みる。
「も、元々男子校にいてこの学校に転校してきました、な、成宮優斗できゅ!!」
最後の最後で舌をかんでしまった優斗。
しかしその仕草が愛くるしいのか、更なる嬌声が教室に響き渡る。
「静かにしい!!・・・ったく、気持ちはものごっつわかるけど、転校生ビビらしてどないすんのやって話やで。
成宮、自分の席は一番端っこのあの席や。」
杉崎の指定した席は教室の一番端っこの一番後ろ。
なんと隣接する女子生徒が二人しかいない優斗にとってまだましな席だった。
「杉崎先生!!」
「?なんや?」
「ありがとうございます!!」
その杉崎の恩恵(偶然か必然かはわからないが)に満面の笑みでお礼を言う優斗。
その愛くるしい笑顔に・・・・・
「・・・・・・お前らの気持ちはようわかった・・・こいつ、男やのについめっちゃ可愛いって思うてもうたわいがここにおる・・・」
どうやら杉崎の禁断の門がもう少しで開きそうになったようなのであった。
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