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優斗は急ぎ足で席に向かう。
席をすぐ去るときいろいろな人によろしくね、などといわれるが何とか言い返してさっさと席に座ろうとする。
何故このクラスは男子がいないということは家に帰って父に問いただそうと心に誓う優斗。
そして席に座ると前の女の子が何故か慌てていたが、あまり気にしないようにした。
一応、席が隣接したこともあり、隣にいる女の子に挨拶しようと考える優斗。
しかし・・・
「あたしの名前は雪野秋実。よろしくね!」
先を越されてしまった。
「ぼ、僕の方こそよろしくお願いします!」
しっかりと相手の目を見て挨拶する。
とここで優斗は自分の中での異変に気付く。
(あ、あれ?怖いのは変わらないけど・・・ちゃんと目を見て普通に挨拶できてる?)
些細なことだった。
普通に人なら簡単にできてしまうようなこと。しかし優斗はそれすらもできなかった。
つまり・・・横にいる雪野秋実と普通に会話できるということなのだった。
もちろん、それは優斗の中の普通。
他の人にくらべれば些細なことだろう。
しかし優斗にしてみれば一歩前進なのだ。
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