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「・・・・・・・・」
「ど、どうしたの?握手。」
弥生の心遣いはうれしい。
しかし優斗の中で怖い、という気持ちが先決してしまって差し伸べられる手を拒否してしまう。
その反応を見て弥生は・・・
「あ、あんた!握手もできないの!?」
と乱暴に言ってくる。
その罵声にまた恐怖心が強くなる。
―そんな顔してるんじゃないわよ!!!!!!この糞餓鬼!!!!!
(嫌だ!もうあんなの嫌だ!! )
心がかき乱れそうになる。
異常な状況で頭が回らなくなってどうにかしそうになる優斗。
「まあ、弥生ちゃん。成宮君はまだ転校したてで緊張してるんだからそんなきつく当たっちゃいけないよ。」
その声を聞いた瞬間、どこかからだの震えがなくなるような気がした。
顔を上げてみるとそこには隣の席の雪野秋実が弥生の肩をぽんぽんと叩きながら宥めていた。
「で、でも!!」
「でも、じゃない。そんなに厳しく当たられたら誰だってそうなっちゃうよ。」
「うう・・・・・・・わ、わかった。」
弥生は自席に戻る。
それと同時にチャイムがなった。
「そ、その・・・・・・ありがとう、雪野さん。」
「ああ、わたし、苗字で呼ばれるのあんまり好きじゃないから秋実って読んで!あたしも優斗君って呼ぶから♪」
「う、うん。」
少しだけなら話せるようになった。
もちろん秋実限定だが、一歩前進した優斗であった。
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