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別に女の子が嫌いなわけではない。
ただ、苦手なだけなのだ。しかし苦手だからこそ近づけない。今まで妹以外の女の人と小学生以来、話したことがない優斗にとって、女子生徒とすれ違うことすらが億劫なのであった。
「し、失礼します。」
ともあれ、職員室前に着いた優斗は、扉を二度叩き、職員室に入ってゆく。
すると体格のいい、長身で挑発の男前の教師が優斗の前にやってきた。
「よう来たな!成宮優斗やっけ?」
「はい。」
「そないか・・・わいは杉崎空梧つうお前の担任や。適当なところは堪忍な?」
関西弁なところを見ると関西出身なのだろうか?杉崎は随分と社交的なのですぐに優斗は杉崎と打ち解けた。
「竜の奴から聞いとるけど自分、女が怖いらしいな?」
「竜一さんと友達なんですか?」
「そりゃあな~、あいつと大学、一緒やで?わい。」
と話しながら職員室を出て教室へ向かう。その際にも女の子とすれ違うので少し杉崎に身を隠しながら震える。
「こりゃまあ重症なこった・・・かわええルックスしてんのに勿体無いな~」
「いいんですよ・・・それにしても僕、ここに来るまでまだ一度も男子生徒を見ていないんですけど、どうしてなんですか?」
「え?・・・自分・・・聞いてないん?」
杉崎はポカンとした表情をしている。
何故かその表情を見ると優斗の中の第六感が何かを告げていた。
嫌な予感がする・・・・・・・
そう告げていた。
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