第3章:開戦

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「・・・それで、結果は?」 沢村は眉一つ動かさない。 「真珠湾攻撃は成功、敵の石油貯蔵施設に大打撃を与えたそうじゃ。 これで米太平洋艦隊は数ヶ月間は身動きが取れんじゃろう」 「そうですか、それは何よりです」 自分が立案した作戦だと言うのに、まるで無関心な口振りだ。 山本は少しばかり顔を歪めた。 「・・・沢村君、いや、沢村少佐。君は何のために戦争を行うのか?」 山本は再びウイスキーを口にし、率直な疑問をぶつけた。 「そうですね。強いて言えば、理想のためでしょうか」 「理想、とな」 「はい。、どの国からも侵略を受ける事も無く、どの国も攻める事がない。しかしながら、強大な軍事力を背景に、抑止力をもってして世界から争いを払拭する。それを作り上げるのが私の理想です」 沢村は遠い目で語る。 「世界平和か、軍人にとっては皮肉じゃの」 「ええ、確かに」 沢村もグラスに残っていたウイスキーを飲み干した。 「高野の世界では、その任は米国が担っていたようじゃが、彼らでは役不足かの?」 「と、言いますか、彼らでは不可能でしょう。国民性が違います。米国や欧州人は、平和とは戦って勝ち取る物だと意識していますから。資本主義社会が発達し過ぎて利己的になっているという面もあります。彼らの多くは、正義やら平和やら、と宣いながら、裏では利権を求めている連中ですよ。利権が絡んでくると、戦争さえ辞さないような。今回の視察でよく分かりました」
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