第3章:開戦

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「―――閣下!?ご無事だったのですね!?」 後ろから自分を呼ぶ声がしたような気がして、ブレリトンは立ち止まった。 「閣下!!私ですっ、トーマスです!!」 振り向くと、煙の中から見知った顔が現れる。 副官のトーマス中尉がせき込みながら駆けてきた。 「おお・・・・・・っ、生きていたのか!?」 「はい、爆発に巻き込まれる直前に防空壕へ・・・・・・、間一髪でした」 言葉でなくとも、彼の土埃と煤だらけの姿と、憔悴しきった目を見れば、どんな目にあったか容易に想像できる。 「そうか―――」 ブレリトンは咄嗟に顔を伏せて、それ以上言葉を紡ぐ事は出来なかった。 喉の奥が圧迫されるようにキリキリと痛み出す。 ・・・あまりにも不甲斐ない。 彼の顔を直視する事に、改めて自分の失態を認識させられる。 もし、あの時自分の勘を信じて、基地周辺の警戒を厳にしていたならば・・・・・・。 この様な甚大な被害を被ることは無かったのかもしれない。 いや、有り得なかった。 逆に、敵艦隊を発見して、叩きのめしていただろう。 今となっては、それさえも叶わない。 栄光と屈辱。 ほんの少しの采配で揺れ動く気紛れな結末。 運的な要素が強い物語だが、それを引き込めなかったのは自分せいだ・・・・・・。
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