第3章:開戦

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今回の攻撃にはそれを利用した。 帝国海軍が、レーダーについて研究し始めたことにより判明した現象だった。 しかし、米軍のレーダーサイトでは早い段階で彼らの存在に気がついていた。 レーダー員が司令部に連絡を取り、司令部から航空隊に情報が伝わる。 本来なら、未確認飛行物体を確認したので、迎撃機が離陸するはずだった。 しかし、レーダー員の致命的なミスのお陰で、迎撃は見送られてしまった。 彼らは、不明機が侵入してきた方角は伝えたものの、機数まで伝えていなかったのだ。 そして、そのまま情報が伝達され、航空隊司令部は誤った判断を下してしまう。 その不明機は、索敵から帰ってきたPBY飛行艇である、と。 日本の空母は全てフィリピン近海にあり、ハワイ近海に空母がいるはずない、と信じていたのも誤認の原因の一つだった。 確かに近海には、日本の『空母』は存在しない。 変わりに、航空機を搭載した潜水艦が潜んでいたのだが。 しかし、不明機の実体が潜水艦から放たれた爆撃機である、と誰も推測できなかった。 この時の状況をどう考察しても、カタリナと誤認する方が自然な流れではないだろうか。 レーダー員以外の誰にも罪は無い。 ともあれ、幸運が重なり今回の奇襲作戦は成功を収めた。
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