第1章:邂逅

8/45
前へ
/280ページ
次へ
「・・・嘘だろ?」 高野は、途端に恐怖に駆られた。 朝、目が覚めたら、家に自分一人しか居なかった時の言い知れぬ恐怖感と孤独感に似ている。 それを何十倍にも増幅した感じだ。 「何で・・・誰も居ないんだよ・・・。 倉本、有沢、中津・・・・・・誰かいないのか?」 高野は、途切れ途切れの震える声で、仲がよかった友達の名前を呼ぶ。 しかし、当然の事ながら返事はなかった。 「・・・何がどうなってるんだよ。 何で、誰も居ないんだよ。 何で・・・・・・」 高野はそこまで口にしたとき、全てを走馬灯のように思い出した。 そう、高野たちが乗るJAL1404便は、EMP攻撃によって操縦不能に陥ったのだ。 そして、高野自身は墜落の直前で意識を失った。 だとすれば、 「何で、俺は生きているんだよ?」 高野はさらに恐ろしくなった。 何故、高野自身は高高度から墜落したはずのJAL1404便に乗っていて軽傷で済んでいるのか? そして、何故、機体は全く破損していないのか? 日航機墜落事故とかの映像を見たことはないだろうか? 山中に墜落した機体は、バラバラに四散し、原型を留めていなかった。 その状況下で生存が絶望視される中、生存者も数人見つかった。 重傷、ないし意識不明の重体の状態でだが。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1166人が本棚に入れています
本棚に追加