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「テ・・・ッ!」
喉の奥から絞り出したような声と同時に、機体がガクンと揺れる。
爆弾が切り離され、少し軽くなったのだ。
先頭の藤田機の投弾を確認して、後続の機体も次々に6番を離した。
1機につき2発ずつ。
合計で24発の6番が不気味な風切り音をたてながら、夜の帳を切り裂く。
まるで、爆弾の雨のようだった。
着弾までは物理の空気抵抗を無視した公式に当てはめて、約5秒というところ。
藤田たちには、その時間が途轍もなく長く感じられた。
・・・まだか、・・・まだか。
行き場所のない焦燥感に駆られて、藤田の手は汗ばむ。
本来なら、この後旋回しなければならないのだが、それさえも忘れていた。
奥田も同じで、目を閉じて祈る。
心臓が破裂しそうなほど、高鳴っていた。
鈍い爆発音、大気を震わせる振動。
そして、奥田の目に信じられない光景が飛び込んできた。
爆弾がタンクに吸い込まれていった直後、見たこともない大きな閃光が煌めいたのだ。
それも一本や二本ではなく、次々と爆発は巻き起こる。
集積所の敷地内から幾つもの火炎が見えた。
美しい。
奥田は不謹慎かもしれないが、しばらくそれに見とれた。
石油に引火して、闇を引き裂きながら煌々と燃え盛る炎。
立ち上るどす黒い煙。
まるで、大爆発を起こした火山のような光景だった。
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