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※※※
その時、沢村は自室の机に向かって、資料を書き写していた。
机の周りには書き写した資料や紙が散乱。
台風でも発生したかのような荒れ具合だった。
作業に没頭しているなか、唐突にドアをノックする音が響く。
「どうぞ」
沢村は手を休めずに返事をした。
ガチャリ、と鉄の扉が開いて、
「どうじゃ沢村君、調子の方は」
ウイスキーの酒瓶を手にした山本が顔を覗かせた。
「大体、翻訳し終わりましたよ」
沢村は万年筆を置き、机の上に散乱している資料を纏める。
その資料のタイトルは「潜水艦運用方法論」である。
「どうじゃ、やはり独国は進んどるか?」
山本は床の適当な場所に腰を下ろす。
「ええ、技術面においても、戦術面においても、我が国よりかは進んでいます」
沢村も食器棚から適当なグラスを見繕い、山本の向かいに座った。
山本は栓抜きでコルクを抜き取り、
「まあ、少しは休め」
沢村が持つグラスにウイスキーを注いだ。
「恐縮です」
沢村は顔色一つ変えずに流れ込むウイスキーを見る。
山本が自分の分まで注ぎ終わると二人は一気にそれを呷った。
「・・・で、本題なのじゃが、先ほど真珠湾攻撃部隊の物と思われる無電が入った」
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