第1章:邂逅

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ガコ・・・・・・ッ!! 機体の中で、何かが外れるような音がした。 そして、 「開いたぞっ!!」 野太い歓声が聞こえる。 機体の前の方からだ。 高野は、とっさに音がした方に向き直る。 誰かが機体前方の扉を開けて、いや、こじ開けて入ってきた。 それは、作業服を着ている男性が大半だったが、その中に、異質ともとれる服装をした人物が二名。 田舎から初めて上京してきた人のように、機内をキョロキョロと見回しながら入ってきた。 高野は目を見張った。 その二人は、漆黒の軍服で身を固め、錨の印が刻まれた軍帽を被っていたからだ。 高野は叔父が海上自衛隊の三等海佐だからよく知っている。 それは海上自衛隊の服装ではないことを。 そして、また、彼の祖母の父、つまりは彼の曽祖父に当たる人物が海軍兵学校出身者で旧帝国海軍軍人であったから知っている。 それがきっかけで太平洋戦争について興味を持って、いろいろ調べて得てきた知識の中に、合致する物が存在することを。 それが旧帝国海軍軍人の第一種軍装であることを。 ・・・何で、旧帝国海軍の軍服なんだ? 彼らは一体何者なんだ? 高野の頭の中は白一色に染まった。 無理もない。 これ以上の異常な現象は、彼の脳味噌が受付なかった。 「おいっ、生存者だっ」 作業服の男が一人、高野を見つけ指さした。 それで高野はハッと我に返る。
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