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だが、その時には、高野は駆け寄ってきた男たちに囲まれていた。
「怪我はないか!?」
「一体、何があったんだ!?
君以外に生存者はいないのか!?」
「・・・えと・・・その・・・」
高野は矢継ぎ早に繰り出される、質問責めに会い、たじろぐ。
取り敢えず、何から答えたら良いか迷っていたとき、人混みの向こうから、
「おい、止めないかね」
おっとりした、だが、強い口調の声が聞こえてきた。
それが鶴の一声となり、作業服姿の群衆は黙り込む。
高野が目の焦点をそちらに合わせると、そこには軍服姿の男性が二人、立っていた。
「少し、下がってくれないかね」
作業服姿の男たちが、申し訳なさそうに下を向き、彼等のために通路を空ける。
軍服姿の男たちは、それに目もくれず、高野の方に一直線に歩いてきた。
「君は、学生・・・日本人だね?」
男は、高野が着ている学生服に気付く。
「・・・はい、あなたは?」
「ん?私か、私は見ての通り、海軍の者だが。」
男は高野を諭すように答える。
「・・・海軍?」
・・・そんなバカな。
・・・今の日本にあるのは海上自衛隊であって、海軍なんて組織は存在しない。
・・・まさか、俺はタイムスリップしてしまったのか?
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