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高野は力なく座席にもたれ掛かった。
・・・本当にタイムスリップしてしまったんだ。
夢か?いや、現実だ。
俺は、戦前の昭和にやってきてしまったんだ。
でも、どうして俺だけが?
そこで高野は、墜落直前の出来事を思い出した。
そうか、あの老人せいか・・・。
彼の言葉が高野の頭の中に、鮮明に蘇ってくる。
歴史を書き換えろ、とか言っていた不思議な老人。
彼が一体何者だったのかは、今となっては知る術もない。
だが、恐らく、あの老人が歴史の改変を自分に頼んだから、自分一人だけがタイムスリップしてしまったのではないだろうか。
と、言うことは、歴史の改変が終わると、元の時代に帰れるのだろうか。
高野は淡い期待を抱いたが、それをすぐに打ち消す。
・・・俺は死んだんだ。
EMP攻撃に、戦争に巻き込まれて。
ならば、帰っても、俺が存在している確証は無いじゃないか。
もしかしたら、核戦争によって日本という国家自体が消滅している可能性さえある。
・・・じゃあ、どうすればいいんだ?
答えは簡単だった。
歴史を書き換えて、未来の日本が核戦争に巻き込まれないように。
もしくは、核戦争自体が起こらない未来にすれば良いのだ。
そうすれば、大勢の国民が死ぬことも無いだろうし、俺がタイムスリップした事実も消える。
もしかすると、元の世界に戻れるかもしれない。
でも、どうやったら、歴史を変えることが出来るのか・・・。
そして、高野は目の前に歴史の立役者が居ることを思い出した。
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